「腕立て伏せをやろうとしたら、体がまったく持ち上がらなかった」「膝つきでもきつくて続かない」——筋トレを始めたばかりの人から、こういう声をよく聞きます。
結論から言うと、これはまったく落ち込む必要のないことです。腕立て伏せは自重種目の中でも難易度が高めで、運動習慣がなかった人がいきなりできなくて当然だからです。
大事なのは「できないから諦める」ではなく、「できるところまで負荷を下げて、そこから積み上げる」こと。今回は、一回もできない状態から通常の腕立て伏せができるようになるまでの流れを、四つのステップに分けて解説します。
なぜ腕立て伏せは難しいのか
通常の腕立て伏せでは、体重のおよそ6割前後を腕と胸で支えることになります。体重60kgの人なら約36kgを持ち上げる計算です。ジムでいきなり36kgのベンチプレスを持ち上げるのは難しいですよね。腕立て伏せができないのは、それと同じことなんです。
つまり必要なのは根性ではなく、「支える体重を減らす工夫」です。次のステップは、まさにその負荷を段階的に調整していく流れになっています。
ステップ1:壁を使ったウォールプッシュアップ
まずは立ったまま、壁に手をついて行う腕立て伏せから始めます。
- 壁から一歩ほど離れて立ち、両手を肩幅より少し広めに壁につく
- 体を一直線に保ったまま、肘を曲げて胸を壁に近づける
- 壁を押して元の位置に戻る
この時点では負荷はかなり軽いですが、正しいフォームの感覚(体を一直線に保つ・肘を開きすぎない)を覚えるのが目的です。15回×3セットが余裕でできるようになったら次へ進みましょう。
ステップ2:机やソファを使ったインクラインプッシュアップ
次は手をつく位置を下げて、負荷を上げていきます。机、ソファの座面、階段など、安定した台に手をついて斜めの姿勢で行います。
ポイントは、手をつく位置が高いほど負荷が軽くなること。つまり高さを変えるだけで、自分にちょうどいい強度に微調整できます。テーブル→ソファ→椅子→階段の低い段、というように少しずつ下げていきましょう。
各段階で10回×3セットができるようになったら、次の高さに移ります。
ステップ3:膝つき腕立て伏せ
いよいよ床での動作です。膝を床につけることで、支える体重をぐっと減らせます。
- 四つん這いになり、手は肩幅より少し広めにつく
- 膝から頭までが一直線になるよう、お尻を突き出さない姿勢をとる
- 肘を曲げて胸を床に近づけ、床を押して戻る
よくある間違いが、お尻が高く上がってしまうこと。これだと負荷が逃げてしまうので、膝から頭までのラインを意識してください。膝が痛い場合は、タオルやマットを敷くと快適に行えます。
膝つきの詳しいやり方は腕立て伏せの基本でも解説しているので、合わせて読んでみてください。
ステップ4:ネガティブ動作を取り入れる
膝つきで12回×3セットができるようになったら、通常の腕立て伏せへの橋渡しとして「ネガティブ動作」を取り入れます。
ネガティブ動作とは、下ろす動きだけをゆっくり行う方法です。
- 通常の腕立て伏せの姿勢(膝を伸ばした状態)をとる
- 5秒ほどかけて、ゆっくりと体を床に下ろす
- 床についたら膝をついて起き上がり、また最初の姿勢に戻る
人間の体は「持ち上げる力」より「支えながら下ろす力」の方が強いので、押し上げられなくてもこの動作はできます。これを3〜5回×3セット繰り返すうちに、通常の腕立て伏せができる筋力がついてきます。
どのくらいの期間でできるようになる?
個人差はありますが、週2〜3回のペースで続ければ、多くの人が1〜3ヶ月ほどで通常の腕立て伏せが1回できるようになります。
- 各ステップの目標回数をクリアしたら次へ進む
- できない日があっても気にしない
- 回数より、正しいフォームを優先する
焦って上のステップに進むと、フォームが崩れて怪我につながります。筋トレのフォームが大事な理由でも書いた通り、遠回りに見えても正しいフォームの習得が結局は一番の近道です。
できない自分を責めないこと
僕自身、筋トレを始めた頃は体重49kgのガリガリで、ベンチプレスもろくに上がりませんでした。そこから少しずつ積み上げて、今があります。
スタート地点は人それぞれです。他人と比べる必要はまったくありません。大切なのは、今日の自分が昨日の自分より少しでも前に進んでいることです。
モチベーションの保ち方については筋トレのモチベーションが続かない人へも参考にしてみてください。
次のステップへ
通常の腕立て伏せができるようになったら、自宅でできる胸筋トレーニングで部位別に鍛え分ける方法や、二の腕に効くダイヤモンドプッシュアップにも挑戦してみましょう。
何から始めればいいか迷っている人は、初心者向け完全ロードマップもあわせてどうぞ。
今日は壁に手をついて10回。それだけで、確実に前に進んでいます。

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